酒類の販売数量等報告書の思い出

2020-10-02 酒類の販売数量等報告書の思い出

横須賀に来るずっと以前15年以上前の話になるが、一時酒屋をやっていたことがある。
昔勤めていた職場の部長さんが、突然酒屋をやるぞと言い出し、有休施設の有効利用を名目に土日だけ開店する酒屋をオープンさせたのだ。お酒が好きなので、いつでも好きな酒を仕入れて飲めたら最高だろうと思ったのかもしれない。(そんなわけないことを祈る)
平日は本来の業務で使っている場所を無理やり店にするので、毎回土曜日の朝にフォークリフトで山積みの酒が載ったパレットを降ろしては並べて店を作り、日曜の夜に巨大なラップでパレット上の酒をぐるぐる巻きにして、パレットを積み上げて片付けるという途方もない作業をしなければならなかった。店番はアルバイトさんがいたものの、チラシをつくって近隣にまいたり、新聞折り込みをしたり、在庫管理や発注作業もしなければならない。
しかし、何せ職場としても酒屋なんて始めてのことだし、担当者になってしまった私だって全くの未経験のド素人である。それどころか、本来の業務+αの片手間でやっているものだから、どったばたのてんてこ舞いだった。
本来の業務は通信販売のような業態で、受注を受けて発注をかけるので、基本的に在庫は持たない。しかし、リアル店舗はそうはいかない。開店当初コンセプト通りにご当地酒蔵からあつめた銘酒各種。週に二日の短時間の開店で捌けるわけなどないのだ。しかも、本来店じゃない場所でやっているものだから温度管理もままならない。ビールでさえ銘柄によっては賞味期限との戦いとなる。なんて恐ろしい不良在庫の嵐。

とりわけ大変だったのが、酒類の販売数量等報告書の作成である。
酒税はご存知のとおり一種類ではない。日本酒は清酒と合成清酒とで酒税が違うし、焼酎も甲類と乙類で違う。ウイスキー、ブランデー、リキュール、スピリッツ、ビール、発泡酒、雑酒、果実酒、甘味果実酒、みりん、原料用アルコールなどなど16種類くらいある。
この分類ごと仕入れと在庫を管理して、リッター換算で税務署に提出しなきゃならないのだ…。

というわけで、苦労のわりに利益が少なかったことと、誰もやりたがらなかったので数年でこのお店はなかったことになりました…。

ということで、10月1日より酒税が変わりました。お酒を飲むということは税金を払うと言うこと。酒屋でなくとも一度報告書を作ってみると、自分はこんなにも余計に税金を払っていることに気づいてしまうかもしれないね。でも飲んじゃうけどね!